【INTERVIEW】「アイドルなら一緒にゼロから成長して行ける」NELNプロデューサー 一ノ宮佑貴&森岡千織&Shinnosuke Nakasone 前編

 「目を閉じて、夢は自由。」をコンセプトに、今年4月から活動を開始した、4人組アイドルグループ「NELN(ネルン)」。12ヶ月連続の楽曲リリース及びミュージックビデオの公開を企画し、既に4曲のオリジナル曲を発表。デビュー曲「ワンダーフォーゲル」は、テレビ朝日「お願い!ランキング」の5月度エンディングテーマに選出された。

 8月28日(金)には、デビューから4ヶ月を経て、ついに初ライブ「Welcome to the NELN’s World.」が、下北沢MOSAiCにて開催される。同時に会場で、これまで配信のみだった既存曲5曲(5曲目は8月28日(金)配信予定)+未発表曲1曲を合わせた、初めてのフィジカル音源である1stEP「Predawn」が発売される。

 NELNは、ビジネスプロデューサーの一ノ宮佑貴、クリエイティブプロデューサーの森岡千織、サウンドプロデューサーのShinnosuke Nakasoneの3名が、中心となって制作されている。一ノ宮は音楽プロダクション及びレーベル blowout代表。blowoutを立ち上げるまではIT系のビジネスに携わっていた経歴の持ち主だ。森岡は映像作家で、21歳で映像制作会社クラウディを設立。その後SILENT SIREN、ukka、アカシックなど数々のアーティストのミュージックビデオを制作して来た。Nakasoneはロックバンド「蟲ふるう夜に」の元メンバーで、現在は作曲家、編曲家、ギタリスト、グラフィックデザイナーとして活躍している。

 VIDEOTHINKではNELNの初ライブ&音盤リリースを記念して、メンバーへのインタビューを掲載した(前編 http://video-think.com/interview/23445)(後編 http://video-think.com/interview/23457)。今回はNELNのプロデューサー陣にフォーカス。プロジェクトを立ち上げた経緯、“アイドル”というジャンルを選んだ理由、オーディションでの選考基準、楽曲制作の進め方などについて、話を聞いた。
 
KARIN(NELN) スナップショット集
NATSUMI(NELN) スナップショット集
【INTERVIEW】結成から9ヶ月でついに初ライブ開催 デビュー直後から12ヶ月連続で楽曲&MVを配信 NELN 後編
【INTERVIEW】コロナ禍という逆境でスタート 映像作家・森岡千織らが手掛ける特異なアイドルグループ・NELN 前編

 
取材、構成:岡島紳士
撮影:フチザキ
 
 
 
意気投合して、何か一緒にやりましょう、と(森岡)


--プロジェクトを立ち上げた経緯や理由を教えて下さい。

一ノ宮 音楽の仕事をしたいなって考えていた時期に、偶然森岡さんと知り合ったんです。去年の3月くらいですね。森岡さんは元々色んなアーティストやアイドルの映像を作ってたんですけど、自分自身が手掛ける立場でやりたいっていう話を聞いて。その時にはもうアイドルグループを作ろうっていうことは決まってましたね。

森岡 意気投合して、一緒にやりましょう、という話になって。

一ノ宮 森岡さんと共同でオーディションを開催し、一緒にやっていこうということで始まりました。「M.I.P(ミップ)」という名前でまずは運営チームメンバーを募って、ゼロから立ち上げました。M.I.Pは現在クリエイティブチームとなり、レーベル名でもあります。そして、昨年8月から、今のNELNとなるアイドルグループの募集を始めます。まずそのオーディションのティザー動画を森岡さんが制作したんですね。

森岡 そう、その動画に音楽をつけて下さいっていう、ざっくりした発注をNakasoneさんにしたのが、Nakasoneさんとプロジェクトの関わりの始まりですね。

Nakasone そうですね。M.I.Pのティザー動画の曲からです。
 

M.I.P 【CREATE NEW IDOL WAVES.】Teaser Movie
 
 
  
ukkaにハマって「アイドルすごい!アイドルやばい!」ってなって(森岡)



桜エビ〜ず「灼熱とアイスクリーム」MV

--アイドルは好きだったんですか?

森岡 私は元々は全然アイドル通ってなくて、詳しくないんですよ。遅めで、欅坂46がきっかけでした。そのあとukkaに出会ってアイドル自体が好きになりました。

--何故「アイドル」というジャンルを選ばれたんでしょうか?

森岡 2018年にukka(旧名:桜エビ~ず)が12ヶ月連続で曲を配信した時に、継続的にミュージックビデオを作らせて頂いたんですよ。それで結構密にクリエイティブに関わらせて貰ってたら、まず私がukkaにハマってしまって。「アイドルすごい!アイドルやばい!」ってなって感動して。自分でもグループを作りたいと強く思うようになりました。そういう時に一ノ宮さんと出会って、やろうって話になりました。専念するために、自分でやってる映像会社のクラウディを一旦休業しました。

--すごい覚悟ですね。でも、それまでにもアイドルのMVは作られてましたよね。

森岡 はい、ただそれぞれ1回きりというか、1回依頼が来て作って、っていう感じで。でもukkaは何本も作らせて貰って、その中で意識が変わったんですよ。何回もずっと同じグループでの映像を作り続けるっていうのがこれまであまりなかったので、そこでメンバーの成長とかを間近で見続けて「こんなに楽しいのか」と思ったんです。メンバーも好きだし、メンバーを魅力的に見せるために技巧を凝らすということにハマったというか。それが私の理由ですね。

一ノ宮 元々プレイヤーとしてバンドをやっていました。ただその道を諦めて、就職したり、ITの領域で独立して仕事をしたりしていましたが、やっぱり音楽の仕事がしたいと思ってたんです。自分も経験していた、バンドを中心とした音楽の事務所を作ることも考えましたが、バンドはプロデュースというよりアーティストの要素が強いなと。アイドルのプロデュ-スというのは、僕らの努力や頑張りも含めて、パートナーとして、グループと一緒にゼロから成長して行けるんじゃないかと思い、魅力を感じました。
 
 
 
エンターテイメントは国を飛び越えて行く可能性がある(一ノ宮)


--前の仕事に物足りなさを感じたんですね。

一ノ宮 自分がやったことが直接的に世の中に伝わるような仕事をしたいと思ったんです。それがエンターテイメントなのかなと。もちろん自分もできなかったんですが、例えばIT系のサービスが日本で広まったとしても、海外では誰も知らない、ということがよくあると思うんです。でもエンターテイメントは国を飛び越えて行く可能性があります。お金を稼ぐための仕事ではなくて、お金を使ってエンターテイメントを仕掛けて行きたい、という意識に変わりました。

森岡 私もそれに近い思想があります。MVだと結局監督っていうクレジットのもと「私が作りました」っていうことは言えても、当たり前ですが権利はそのアーティストに帰属する。プロモーションビデオなので当然アーティストの宣伝をするのが目的の映像なので、私もそれを目的につくるんですが、映像制作っていう一部の関わり方でしかないので、アーティストの根本的な部分をもっと知って作りたいみたいな気持ちがずっとあって。仕事だから仕方がないのですが、そういう断片的なアーティストのプロモーションのサイクルに自分が飲まれることがきつくなって来て。私自身がエンターテイメントを作りたい、っていう思いが強くなりました。

一ノ宮 モチベーションの根本っていうのは日常の中にあって。例えばカラオケに行った時に、隣の部屋から自分がやっている曲が流れたりとか、幸せはそういうところになるのかなって考えて。それが地続きとなって、日本に広まり、世界に広まって行けばいいのかなって思います。

森岡 ビジネス的な部分で一ノ宮さんをすごく信頼しています。私は会社に入ったことがなく、21歳でいきなり1人で会社を興して、ナタを振り回して野生で生きてきたタイプ。計算ができない。

Nakasone 計算しないよね、森岡さんは(笑)

森岡 私は宵越しの金は持たないタイプ。

Nakasone スケジュールの組み方とか心配になるよね(笑)
 
 
 
人生を掛けた意思決定を尊重したいと思いました(一ノ宮)


--オーディションはどのように進められましたか?

一ノ宮 まず各オーディションサイトに情報出しをしました。

森岡 あとは意外と泥臭く、原宿に繰り出してひたすら声を掛けてオーディションへの応募を募ったりとか。

--審査で大事にしたことはありますか?

森岡 あまりアイドルのオーディションの募集要項に書かないことだと思うんですけど、「他者への思いやりを持てる人」、っていうのを入れたんですよね。なので人間性はかなり重視しました。

--どのように人間性を確認されたんでしょうか?

一ノ宮 珍しいと思うんですけど、1人1人かなり長い時間話しました。最終審査に関しては各1時間か1時間半くらい、ずっと話し込みましたね。

森岡 AKARIとKARINは遠方なので、リモートで。

一ノ宮 今いるメンバーの中では、他の大手の事務所も受かって、どっちにするか悩んでたメンバーもいました。あと、合格したら遠方住まいだから、上京する必要があるメンバーもいる。そこでNELNを選ぶっていうことは、本当に人生を掛けてやることなので 、そこで信じてこちらに飛び込んで来るっていう意思決定を尊重したいと思いました。一緒に大きくしていこうという思いが強い人、ゼロからイチにするみたいなところにワクワクできること、という点を重視しました。森岡さんはアイドル業界で実績はあるけど、事務所としては新しい会社なので。
 
 
 
“夢”はNELNにとってクリエイティブの根本的なテーマ(森岡)



Welcome to the NELN’s world.

--NELNのコンセプトはどういうものですか?

森岡 元々はオーディションの募集要項に「NEO NERD LOVELY(ネオ・ナード・ラブリー)」をコンセプトに、次世代のナードガールたちが独自のラブでエンターテイメントを作ります」と出してたんですよ。意味は、新しくて、ピカピカ目立つタイプじゃないけど自分の好きなものにこだわりを持っている人たち…まあ自分がそうっていうのもあるんですけど…そういうメンバーたちが好きなものを肯定するようなユニットにしたい、っていうのがあったんです。今のNELNのコンセプトはまたちょっと変わって来てるんですけど、当時はそこに寄せてオーディションのティザー動画を作って、その世界観に興味を持った人に応募して貰おうとしました。

--今掲げられてるのは「目を閉じて、夢は自由。」ですね。

森岡 はい。“夢”というのはNELNにとってクリエイティブの根本的なテーマですね。夜にみる夢、睡眠で見る時の夢って、身近で誰しもが経験しているけど、非現実的で、身近なエンターテイメントだなと思って。なのでNELNの作品は「夜に見る夢のように自由で身近だけど、現実から少し離れたエンターテイメント」というのを意識しています。寝るのはみんな好きですよね。夢って内容に脈絡がなかったり、でも結構引き込まれたり振り回されたり…目が覚めた後に考えさせられたり、でも楽しかったり…、いろんな感情にさせられるものじゃないですか?だからNELNの楽曲も、あえて曲と曲の間に一貫性を持たせないようにしている面があります。いろんなメンバーの姿を見せたい、と意味もありますけど。

一ノ宮 グループ名に関しては、夢の「寝る」と、あとは言葉の響きや、字面のデザイン性もいいなと思って決めました。
 
 
 
どこかに懐かしさを入れたいなと思っています(Nakasone)



NELN 「ワンダーフォーゲル」Music Video

--楽曲制作はどのような手順で進められてるんですか?

Nakasone 曲によって違いますけど、基本的には森岡さんと一ノ宮さんからこんな感じで!とご依頼いただいて僕から提案させていただく、ということが多いです。僕発信の場合はありますが。その後3人で話して方向性を詰めていく、と言った感じです。「ワンダーフォーゲル」に関してはデビュー曲ということで、ティザー動画に提供した楽曲の流れを踏まえた上で、ちょっとしたレトロ感と、でも体も動かせる、みたいなイメージで作りました。僕は曲に色をつけることが多いんですけど、「ワンダーフォーゲル」は虹色で、いろんな色が混ざっている、というイメージですね。あと、最初にオーディションの時の映像を見させて貰ったんですが、その時のNATSUMIの声が印象的で。まずはNATSUMI主体に考えました。ただそれぞれみんなの声の個性あるので、それをどう生かすか、というところで考えて行きましたね。デビューなんですけど、前向きなだけじゃなく、“不安な気持ち”を曲に残したくて、結構メロディーが不安な感じで終わるんですよ。デビューだから頑張らなければいけない、という気持ちと同時に、不安もみんなあるだろうからそれを曲とメロディーで表現してみました。

--例えば一ノ宮さんからテーマなどを含めたオーダーがあって、曲を作るということはありますか?

一ノ宮 「次はサビのダンスを盛り上げて切り取れるような曲にしましょう」と提案したりはしますね。でも基本的には、僕は作られてきたものに対してのジャッジをしています。MVはかなり森岡さんに任せてます。もちろん、事前にコンテを貰ったり、撮影に立ち会ったりとかはしますけど。

Nakasone そうですね。僕からお二人に提案することもあります。

森岡 それを聴いて「いいね、任せます」っていうことはありますね。あと、歌詞は私が全曲書いてるので、それをNakasoneさんに見せて意見を聞くこともあります。

--楽曲制作において、大事にしていることはありますか?

Nakasone どこかに懐かしさを入れたいなと思っています。最先端ではない、懐かしい感じのメロディーがNELNにはハマる気がして、そこは意識してますね。

森岡 ジャンルが偏らないようにしています。音楽ジャンルがしっかり固定されているアイドルさんも好きなんですけど、自分がやるとなると色々なメンバーの姿を見せたいという思いが強いので。なので曲ごとに毎回違う雰囲気で作って貰っています。

Nakasone ボーカルに関しては、1曲目の「ワンダーフォーゲル」はNATSUMIと他のメンバー、2曲目の「スクエア」はAKARIと他のメンバー、3曲目の「ノンフィクション」はMAOと他のメンバー、4曲目の「irony」はKARINと他のメンバー、近日公開の5曲目は全員、という感じでパート分けしています。個性を知っていく上であえて曲によってメインになるメンバーを変えて作りました。

一ノ宮 メンバーのインタビューで好きな曲を聞いたら、全員それで一致してたね。メンバーには明確には教えてなかったのに。

Nakasone 6曲目はまだ発表してないですけど、バンドサウンドです。アイドルでバンドサウンドでやってるグループは多いけど、逆にそれに乗っかってみて、乗ってみた時のNELNはどうなるんだろうと思って作曲しました。僕は以前ロックバンドをやってたり、BiSHさんに楽曲提供をさせていただいたこともありましたけど、この曲は僕がバンド時代にストックしてた使わなかった曲をリアレンジして復活させたような曲ですね。レコーディングではメンバーに「キレながら歌ってみて!」と伝えました(笑)

後編へ続く


 
 
■ NELN

「目を閉じて、夢は自由。」
4人組アイドルグループ、NELN
 
Official Site:https://neln.tokyo/
Twitter:https://twitter.com/neln_official
Instagram:https://www.instagram.com/neln_official/
TikTok:https://www.tiktok.com/@neln_official
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC8kXbGDRahN-0ES8mgp_Eng
 
 
■NELN 1st LIVE 「Welcome to the NELN’s World.」オンラインライブ配信

日時:8/28(金)
開場 19:20 / 開演 19:30
オンライン配信チケット:無料
ライブ配信リンク:https://youtu.be/y29M_eUIUdM
※詳細はNELN公式Twitter(@neln_official)よりお知らせ
 
 
■1st EP「Predawn(プリドーン)」

2020年8月28日(金)1st LIVE会場限定 先行発売
【CD盤】\2,000(+tax)
<収録内容>
1st~5th +未発表曲1曲




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