【INTERVIEW】認めてくれる人はいるから「私たちが一番だよ」と誇りたい FAREWELL, MY L.u.v&プロデューサー 後編

 FAREWELL, MY L.u.v(通称:フェアラブ)は、名古屋を中心に活動するダンス&ボーカルグループ。10月28日に2ndEP「GOLD」をリリースし、その翌日にはiTunes Storeの「R&B/ソウル」ジャンルで日本国内のランキング2位を獲得するなど、既に高い注目を浴びている。

 今回VIDEOTHINKでは、フェアラブのプロデュース及び運営を行っている、小林拓馬へのインタビューを企画。前編(http://video-think.com/interview/24255)に続き、後編にもメンバーの児玉律子と、サポートメンバーのもりきこまる(a.k.a. タイロン・ウッズ)の2名に同席して貰い、2ndEP「GOLD」のこと、コロナ禍の影響や今後のことなどについて、話を聞いた。
 
【INTERVIEW】iTunes Store「R&B/ソウル」チャートで国内2位を獲得 FAREWELL, MY L.u.v&プロデューサー 前編
 
 

取材、構成:岡島紳士
撮影:YOSUKE L.u.v KOSHINO

 
 
 
小林「(2人の声質は)“甘い”と“苦い”じゃないですけど、その対比は面白いなって思います」


── 3曲目の「BABY LOVE」はThe Supremesのカバー曲です。編曲、ミックスは、レゲエスペシャリストと呼ばれる森俊也さんが担当しています。

小林 既にウッズさんの受験勉強が始まっていてレッスンをする時間がなかったので、律子さんに任せるということで、律子さんソロになりました。

律子 かなりハードだったわ。

── どういう理由でこの曲を選びましたか?

小林 The Supremesはダイアナ・ロスが在籍していたグループなんですが、フェアラブは最初にジャクソン5を目指すというコンセプトがあったので、「I Want You Back」や「ABC」のカバーをやったりしてたんです。そういう本格的なものをやりたいなという思いから、この曲を選びました。コンセプトに対してストレートな楽曲選びをしたというか、「っぽい」ものよりも、そのものズバリをやることって、名古屋的な感じがしてます。東京などではセンスよく消化するところを、差別化する意味でも、不器用に愚直にやることによって、芯を食った表現ができるかも、と考え、挑戦しました。といっても、編曲、ミックスは森俊也さんというその道の超一流の方なので、恐れ多いのですが。この曲だけ生音主体で、演奏録音しています。

── 歌詞は全部英語ですね。

律子 もう一生英語の曲はやりたくないって感じです。英語の成績は良い方なんですけど、やっぱり苦手なので。日本語の方が全然得意。

── カバー曲ってその曲選びによってグループが表現したいものやコンセプトが如実に表れるから、面白いですよね。


The Supremes – BABY LOVE

── 4曲目の「obsession」も渡辺泰司さんによる楽曲です。

小林 洋ヴィンテージソウルというか、冒険したR&Bですね。渡辺さんは「トラック先行で、気持ちいいトラックの上に歌謡曲的なメロディーを乗せました」と仰っていて。ほんとにトラックが最高で、頭が振れて音が気持ちいいっていう感じです。仮歌で歌詞が入ってたんですけど、結構あやふやと言うか煙に巻くような内容が面白かったので、ほぼそのままでちょっと膨らました形で完成させました。フェアラブとしては珍しく内省的な内容になっています。トラックだけでなく、サウンドプロデューサーも渡辺さん、みたいな感じですね。


FAREWELL, MY L.u.v – obsession(Workshop Concert、5:24~)

── お2人はレコーディングしてどうでしたか

律子 この曲は、元々ライブでは「裏声を使って歌ってもいいよ」って言われてたんですけど、いざレコーディングするってなったら「全部地声で歌って」ってなって。裏声で怠けて練習して来てたけど、レコーディングでは地声で頑張りました。できあがった曲を聴いたら軽く歌ってるような感じに聴こえると思うんですけど、実はガチガチに頑張って歌ってます。ちなみに先週末のライブで地声で歌ってみたんですけど、意外と大丈夫でした。

── 小林さんから見ての、2人の声の特色ってどういうものですか?

小林 ウッズさんはわりと甘い歌声ですね。アイドルをやっていた時代があるので、アイドル歌唱の癖が抜けていなくて。逆に律子さんの方は、声が太くてソウルフルな歌唱です。

律子 昔と比べて上手くなりました。

小林 “甘い”と“苦い”じゃないですけど、その対比は面白いなって思います。

ウッズ 声質は一緒だけど、歌い方が違うんだよね。

律子 どっちの方がいいとかは一概には言えないから、面白いよね。
 
 
 
小林「『私たちは一番だし、他が売れてようが関係ないよね』っていうスタンスに持っていけたら」


── 5曲目は表題曲の「GOLD」です。こちらも渡辺泰司さんによる楽曲ですね。

小林 G-FUNKリファレンスな、力強い自分を誇るファンクソングです。「自分を誇る」みたいな、「私たちが一番だよ」みたいな歌詞なんですけど。そんなに売れてるわけではないけど、ちゃんと認めてくれる人は認めてくれるので、そういうところを誇って行こうっていう曲ですね。女の子だから過激にし過ぎず、マイルドな表現にしてますけど。

律子 マイルドになってる(笑)?

小林 一応なってるよ(笑)。「私たちは一番だし、他が売れてようが関係ないよね」っていうスタンスに持っていけたらなと思って作りました。

律子 おっさんっぽい曲を若い女の子が歌うっていう感覚!

── それが大きな魅力のひとつですね(笑)

小林 サウンド的には、装飾は多いのですが、メインのドラムとベース、シンセはシンプル(チープ)に、タイトにしました。太いリズムで歌詞の説得力が増すようして貰ってます。

── 6曲目「BABY DUB」は、3曲目「BABY LOVE」のダブバージョンですね。こちらも編曲、ミックスは「BABY LOVE」と同じく森俊也さん。

小林 いい曲があったらダブバージョンを作る、というレゲエマナーに則りました。

律子 YouTubeにアップされた試聴動画で初めて聴きました。

── お2人は普段はレゲエは聴きますか?

律子、ウッズ (2人とも首を振って)全くわからないです。

── 「レゲエのアーティストはといえば誰?」って聞いたら答えられますか?

律子、ウッズ (2人とも首を振って)分からないです。

律子 分からないことを女の子がやってるから面白いんじゃないの!?

小林 ハハハ(笑)

── お2人はそもそも、フェアラブの音楽性をどう思ってるんですか?

ウッズ そんなに好きな曲調じゃない。

── (笑)。どういう音楽が好きなんですか?

律子 アイドルは好きで、エビ中さんとか乃木坂さんが好きでした。

ウッズ 特にないです。 Apple Musicのヒットランキングの曲を順に聴いて行くみたいな。流行ってる曲を適当に流しています。

律子 YouTubeを開いてオススメ欄に出てくるものを適当に聴いたりします。

ウッズ 家にいてフェアラブの曲を聴くことはほとんどないです。Apple Musicでフェアラブの曲をダウンロードはしてるんですけど、電車とかで流れてきたら飛ばします!

── ウッズさんはアイドルの曲に興味がないのにアイドルをやってたのはどうしてですか?

ウッズ 歌って踊るとこをしたかったんですよね。でも辞めてからはもうアイドルをやろうとは思っていないです。

── ちなみに最近一番好きな曲とかありますか?

律子 って言われたら答えられないんですよ。あ、でもポケモン主題歌の「1・2・3」はよく聴いています。

ウッズ エビ中の曲はすごい聴きます。最近だと、エビ中の曲で「23回目のサマーナイト」。あとは悲しくなりそうな曲が好き。病みそうな曲が好きなんですよね、失恋ソングとか。

律子 鈴木愛理さんも好きです。


私立恵比寿中学 『23回目のサマーナイト』MV
 
 
 
小林「前作のようなものを求めてる人には、どう受け止められるのかな、とは思います」


── 7曲目、ボーナストラックの「REFRAIN」。こちらはアイドルグループ・ひめキュンフルーツ缶などに楽曲提供している、萩龍一さんによる楽曲です。

小林 3年前、受験などでメンバーが忙しい中、律子さんが一番スケジュールを空けてくれてたんですよ。一番動ける律子さんでソロ曲をいっぱい作ろうと思ってできた曲です。萩さんなりの「I Want You Back」(ジャクソン5)を作って下さい、というオーダーをしました。ただ当時の律子さんにはキーが高くて、半音下げて歌ってたんですよね。CD-Rで出したりコンピレーションアルバムに収録されたり、という形で発表してたんですが、結構歌が上手くなって来たので、今年の2月くらいに再録し、収録しました。

律子 でも満足いってないから、3年後ぐらいにもう1回録りたい。

── どうして3年後なんですか?

律子 3年後ならもっと上手くなってるでしょ、っていう。


FAREWELL, MY L.u.v – REFRAIN(Workshop Concert Vol.2、00:09~)

── リリースして、手応えや反響についてはいかがですか?

律子 だいぶ盛り上がってるよ自分的には。なんか売れそうな気がする。

小林 正直言うと、前回よりも薄めた部分というか、ポップにした部分があるので、前作のようなものを求めてる人には、どう受け止められるのかな、とは思います。でも、今のところネガティブな感想は聞こえて来ないので、良かったのかな。

律子 万人受けを狙った!

── メンバー的に、このEPのオススメポイントや好きな歌詞などはありますか?

律子 「GOLD」のBメロの後半かな。「流行りはそんなんじゃない」のところ。リズムが好きです。

ウッズ 「HAPPY LIGHT」のサビの「Go for it!怯まず進め」のところです。
 
 
 
律子「ビッグになろう」


── コロナ禍になり、ライブアイドルには大きな影響が出ていますが、フェアラブさんはいかがですか?

小林 遠征ができなくなった分、お金を使わなくなったので、財政的には楽になってますね。それと、他のアイドルさんと違って、握手などはあまりやっていなかったので、そこまでの影響は受けていないです。ただ、お客さんの前でライブができないというのは、ちょっとストレスですね。

律子 自粛期間中に家で歌いまくってたので、歌が上手くなった気がします。スキルアップしたかも。

ウッズ 受験生なので、どちらにせよ受験勉強一色だった感じですね。体育祭がなくなったりは残念だったけど。むしろ遊ぶことに対して諦めがつきやすいです。

── では最後に、今後の展望について聞かせて下さい。

小林 今回のEPまでである程度やりたいことをやったので、ここからは悪魔に魂を売ってでも、もう少し売れる方向に舵を切って行きたいなと思っています。今までは楽曲に注目されることが多かったけど、最近律子さんのキャラも立って来たので、メンバーを軸にした展開っていうのは、して行きたいなと思ってます。

律子 ビッグになろう。

ウッズ 新メンバーは入れないのかな。

小林 いい子がいればね、とは思ってます。

律子、ウッズ 皆さんCDを買って下さい!

<了>


 
 
■FAREWELL, MY L.u.v 2nd EP「GOLD」

FAREWELL, MY L.u.v「GOLD
発売日:2020年10月28日
価格:2,273円(本体)
品番:FWML-005
形態:CD/配信・ダウンロード
TOWER RECORDS ディストリビューション
Surf Club

ジャケットアートワーク:大橋裕之

1. HAPPY LIGHT
  作詞/作曲/編曲:渡辺泰司
2. 染まってゆく
  作詞:スセンジーナ、松尾宗能
  作曲/編曲:松尾宗能
3. BABY LOVE
  Eddie Holland/Braian Holland/Lamont Herbert Dozier c?JOBETTE MUSIC CO INK.
  編曲/Mix:森俊也
4. obsession
  作詞/作曲/編曲:渡辺泰司
5. GOLD
  作詞/作曲/編曲:渡辺泰司
6. BABY DUB
  Eddie Holland/Braian Holland/Lamont Herbert Dozier c?JOBETTE MUSIC CO INK.
  編曲/Mix:森俊也

〈Bonus track〉
7. REFRAIN
  作詞/作曲/編曲:萩龍一

https://linkco.re/0AQgbumF
 
 
■イベント情報

・2020.11.22 「シティスタイルVol.5」 福岡
・2020.11.22 「福岡箱ライブ予定」 福岡
・2020.11.23 FAREWELL, MY L.u.v 「福岡 ミュージックプラザインドウ インストアライブ」
・2020.11.28 FAREWELL, MY L.u.v 「名古屋市内インストアライブ」
詳細はこちら。
https://idol-bunch.com/luv/index.html
 
 
■FAREWELL, MY L.u.v (フェアウェルマイラブ)

名古屋を中心にライブ活動をしております、中・高生によるガールズダンス&ボーカルグループ。2015年秋ステージデビュー。HIP-HOP的手法でメイン・サブ、様々なカルチャーを取り入れ、Soulをベースに現代風へとアレンジ、ティーンメンバーに合わせた可愛くもダンサブルなオリジナル楽曲で独自のスタイルを確立。名古屋のライブイベント「アイドルバンチ」を中心に、各種ライブイベントやアイドルフェス、メディアへ出演。また自主定期イベント「ABC LESSON」では名古屋で活躍する落語家さん、劇団、ダンサー、ラジオパーソナリティーなどを講師に招き、公開授業形式の独自イベントも行っております。
2016年暮れに1stシングル「7 DAYS FOCUS」を発売。2017年12月、2nd「NAGOYA ZOO」リリース。
2019年6月1stEPをリリース。
名古屋には無かった、コンセプチュアルで楽曲重視の姿勢と、握手をはじめとする接触を排し、ファンとの適切な距離間を保つクリーンなイメージ、ソウルフィーリング溢れるオリジナル曲で、地元名古屋だけでなく、全国的に注目を集め、東京など県外での公演・ゲスト出演が増加しております。

Official Site(https://idol-bunch.com/#luv
Twitter(https://twitter.com/farewellmyl_u_v
Instagram(https://www.instagram.com/farewellmyluv/
YouTube(https://www.youtube.com/channel/UCfGc9UOSkYF2nWlCrZAalaw
ONLINE SHOP(https://farewellmylu.theshop.jp/




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