映画×音楽の祭典「MOOSIC LAB 2017」にて連日満席の客入りを記録し、観客賞を受賞。さらに香港国際映画祭や上海国際映画祭に正式出品されるなど、インディーズ映画としては異例の広がりを見せている映画「少女邂逅」。土山茜はこの作品で、イジメグループの中心的存在・清水馨役を演じている。
また、ヒロインを演じた日中合作短編映画「カップケーキ」は、中国でテレビ生中継された映画祭「VISION YOUTH AWARDS」にて最高賞グランプリと最優秀ストーリー賞を獲得。国内ドラマでは「おっさんずラブ」「女囚セブン」(テレ朝系)に出演するなど、気鋭の女優として注目を集めつつある。
今回はそんな彼女に映画「少女邂逅」のこと、デビューのこと、演技へのこだわりなどについて、話を聞いた。
取材、構成:岡島紳士
撮影:フチザキ
前編はこちら。
・【INTERVIEW】「“あの時期”だけを詰め込んだ映画です」 異例のロングラン上映の映画「少女邂逅」出演 土山茜 前編
撮影の最終日は床で寝てました
--なるほど。再び映画の話に戻りますが、撮影自体はどうでした?思い出を聞かせて下さい。
辛かった記憶しかないですね(笑)。枝さんの出身地の群馬県高崎市で普通の一軒家を借りて、そこで最大で20人以上で2週間、寝泊まりしました。連日リビングで打ち合わせをするんですけど、みんな真剣だからお葬式みたいに沈んだ雰囲気になってて。
--20人以上も寝れないんじゃないですか?
だからスタッフさんは床や車で寝たりしてました。私たちJK役の6人はみんなで1部屋使ってたんですけど、最初、布団が5組しかなくて。なんとか寄り添いながら寝てたんです。で、途中で1回みんな東京に撮影に行って戻って来たら、布団が4組になってて。「誰か1組取りやがったな!」ってなって(笑)。結局、最終日は私は床で寝てました。あと、お風呂が1個しかないんですよ。一応お湯は溜めるんですけど、最後の人が上がる頃にはお湯がほんときったない色になってて(笑)。一応私たちJKチームは一番風呂にして貰ってたので良かったんですけど。時間がないから2人一緒に入って、1人が湯舟に浸かってる間に、もう1人は体を洗ってっていう、ほんとに裸の付き合いをしてました。
--仲良くなりました?
めっちゃ仲良くなりました!今も常に連絡取り合ってるし。香港の映画祭に4人で行ったんですけど、1週間一緒に旅行に行っても苦じゃないんですよ。そんな友達ができたのは、この映画のおかげですね。
--お客さんの反応はどうですか?新宿武蔵野館ではインディーズ映画としては異例の2ヶ月のロングラン上映となったようですが。
おかげさまで好評みたいです。元々「MOOSIC LAB 2018」で上映された時も連日満席で、その反響もあって、作品としても独立して配給したいっていう申し出があって、単独での上映が決まったんです。1回観た人がリピーターになってくれたり、人に観せたくなって誰かを連れて来てくれたりとかも多いようです。あと最初は客層的には映画好きのおじさまが多かったんですけど、夏休みに入って女子高生が増えたり、どんどん年齢層が幅広くなって行きました。お母さんが娘を連れて来られたリ、姉妹を連れて来られたり。「どうしても観せたいから」って。口コミが効いてるみたいですね。それと、「カメラを止めるな!」がヒットしたことで、インディーズ映画自体が注目されてるっていう効果もあるみたいです。
まずは「グラビア オーディション」で検索しました
--デビューのきっかけについて教えて貰えますか?
福岡県久留米市出身なんですけど、高校生の頃、地元でスカウトされたんです。「東京に来ることがあれば連絡して」と言われて、その気になって関東の大学を選んで上京して。大学2年からレッスンを受けてたんですけど、いろいろあって事務所が潰れちゃって。でも、そこでこのままお芝居を辞めるのは嫌だなと思って。レッスンの時に「お前は田舎者だ、田舎臭い」と言われたり、その人たちのせいでせっかく出したやる気がそがれるのはちょっとムカつくなって。それでまずはグラビアから始めようと、「グラビア オーディション」で検索して一番最初に出て来たのが、日本テレビ主催の「汐留グラビア甲子園2012」。ここに一般枠で応募したら決勝まで残って。そこから2年くらいグラビアの仕事は続けて、並行して舞台にも出るようになりました。
--舞台は2、3年続けてたんですよね。
そうですね。でも2016年くらいから映像でのお芝居の方に切り替えようと思って、オーディションを受けたり、ワークショップに通ったりしてました。事務所は、舞台に出てる時に1年くらいは所属してたけど、あとはずっとフリーです。
-- 映画「カップケーキ」についてお聞きします。ヒロインの広瀬唯役で出演されてますが、これはどんなストーリーなんですか?
パソコンが得意なオタクの男の子がヒロインに恋して、でも手に入らないから、VRの世界でなんとかしようとする、というお話です。30分くらいの短編です。
--日中合作だそうですが、撮影はどういう風に行われたんですか?
日本でも撮影したけど、基本的に北京に2週間くらい滞在して撮影しました。監督は中国の人で、メインのキャスト4人は日本人、オール日本語でやりました。エキストラは中国の方でしたね。中国でテレビ中継された映画祭「VISION YOUTH AWARDS」は、中国では認知度の高い映画祭だそうです。中国版の「ぴあフィルムフェスティバル」みたいな。映画祭では上映されてるけど、一般公開はまだなので、今後の告知をお待ち下さい。
お芝居は人間生活を送ってないとできないもの
--好きな映画やドラマなどはありますか?
私の人生を変えたもので、ドラマや邦画で言うと「SP 警視庁警備部警護課第四係」(フジ系)です。勉強しかしてなくて、すぐ噂の広まるような狭い田舎のコミュニティに息苦しさを感じていたときに、世界の広さを教えてくれた作品でした。ドラマは毎週テレビの真ん前で始まる前からスタンバイしてました。どんなにストーリーやお芝居が好きな映画がこれから見つかったとしても、紛れもなく大切な作品です。私の上京を後押しをしてくれ、今まで女優の道を諦めずに支えてくれているものです。洋画だと「シャンドライの恋」は衝撃でした。人の心の揺れ動きは台詞に託すものではないということ、自分の中で大切なことをストーリーにしていいんだ、ということを知った作品で、観終わったあと心がザワザワしました。
--アイドル以外に好きなアーティストはいますか?
昔も今も秦基博さんが大好きです。日常生活で一度は感じたことのあるようなことをピックアップするセンスが抜群で、聴いていると、いつの間にか曲が自分に寄り添ってくれる味方のような存在になります。高校時代、コンサート前後は秦さんの出演するラジオ局を可能な限り観覧行ってました。というか追っかけでした。高校3年の合唱部の演奏会では、オフィスオーガスタに許可を貰って、顧問に「サークルズ」という曲を合唱曲用に編曲して貰って歌いました。自分たちに置き換えてその曲を自分たちのものにさせてくれる“普通さ”が魅力です。
--では今後のお仕事や、目標などについて聞かせて下さい。
ヒロインを演じた映画がそろそろ完成します。もう撮り終わっていて。今後は、もっと自分が経験したことがないような役をやってみたいです。今までは自分に近い役が多かったけど、それだけがお芝居じゃないと思うので。それと、三島有紀子さんの作品が好きなので、出てみたいです。
--お芝居が好きなんですね。
好きです。自分が普段言葉に出せないことを、台詞によって言えるから。「私より私のことを分かってくれる子がホンの中にいるんだ」っていうのが嬉しい。でも、お芝居をしてなきゃ生きていけないってわけではないです。お芝居も人間生活を送ってないとできないわけだから。私はその生活の延長線上で、生活とお芝居が並走してるような状態でいたいなと思っています。映画やドラマや音楽などのカルチャーは生活の中にあるものだけど、そもそも基盤の人間としての生活が無いと画面上に人間なんて映らないから。私は周りと比べてデビューが遅く、一般人的な感覚が他の俳優よりも持てていると思うので、それを強みにしたいです。
■土山茜(つちやま・あかね)
1991年10月22日、福岡県久留米市生まれ。
趣味:ポケモンGO、ヨガ、競馬、ミッフィー集め、農業、Twitter(フォロワー約1万2千人)、大戸屋巡り。特技:合唱(大学部門金賞受賞)、悲鳴(ホラー系)、ダンス、アイドルの振り真似。
2012年8月、「汐留グラビア甲子園2012」に一般応募で出場し、デビュー。2017年3月、JALカードのCM「持ってました チケット篇」に出演。映画「少女邂逅」「カップケーキ」、ドラマ「おっさんずラブ」「女囚セブン」(テレ朝系)に出演。目標とするのは宮沢りえ。「きっとこの人は舞台上で嘘をつけないんだろうなって」。
https://twitter.com/Tsutchama
https://www.instagram.com/tsutchama/
■映画「少女邂逅」
STORY
いじめをきっかけに声が出なくなった小原ミユリ(保紫萌香)。ミユリの唯一の友達は、山の中で拾い「紬」と名付けた蚕。」窮屈で息が詰ま
るような現実から、いつか誰かがやってきて救い出してくれる──といつも願っていたミユリだったが、いじめっ子の清水に蚕を捨てられてしまう。そ
んなある日、絶望したミユリの学校に「富田紬」という少女(モトーラ世理奈)が転校してくる──。
監督・脚本・編集:枝優花
出演:保紫萌香 モトーラ世理奈 土山茜 秋葉美希 近藤笑菜 斎木ひかる 里内伽奈 根矢涼香 すぎやまたくや 松澤匠 松浦祐也
劇中歌・主題歌:水本夏絵
撮影:平見優子/照明:佐久間周平/録音:小川賢人/ラインプロデューサー:鄭銓聖/アシスタントプロデューサー:小峰克彦/スタイリング:松田稜平/ヘアメイク:七
絵/特殊造形:土肥良成/整音:mauve/音楽:大石峰生/美術:すぎやまたくや/映像投影:阪実莉/スチール:秋山大峰/企画:直井卓俊/アソシエイトプロデューサー:
前信介/製作:「少女邂逅」フィルムパートナーズ
配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS 2017 年/カラー/ステレオ/シネマスコープ/101 分 ©2017「少女邂逅」フィルムパートナーズ
http://kaikogirl.com/
https://twitter.com/kaiko_girl
●公開予定
・渋谷UPLINK 2018年9月22日(土)〜
・ユジク阿佐ヶ谷 2018年10月13日(土)〜10月19日(金)
その他、大阪、愛知、広島、山口、福岡など、全国で随時上映予定。
詳細は公式サイトの劇場一覧を参照のこと。
http://kaikogirl.com/theater.html
●土山茜 舞台挨拶
・福岡・ユナイテッドシネマ キャナルシティ13
2018年9月24日(月・祝)
登壇者:枝優花監督 土山茜
http://www.unitedcinemas.jp/canalcity/movie.php?movie=6942&from=movie
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