【INTERVIEW】「“あの時期”だけを詰め込んだ映画です」 異例のロングラン上映の映画「少女邂逅」出演 土山茜 前編

 映画×音楽の祭典「MOOSIC LAB 2017」にて連日満席の客入りを記録し、観客賞を受賞。さらに香港国際映画祭や上海国際映画祭に正式出品されるなど、インディーズ映画としては異例の広がりを見せている映画「少女邂逅」。土山茜はこの作品で、イジメグループの中心的存在・清水馨役を演じている。

 また、ヒロインを演じた日中合作短編映画「カップケーキ」は、中国でテレビ生中継された映画祭「VISION YOUTH AWARDS」にて最高賞グランプリと最優秀ストーリー賞を獲得。国内ドラマでは「おっさんずラブ」「女囚セブン」(テレ朝系)に出演するなど、気鋭の女優として注目を集めつつある。

 今回はそんな彼女に映画「少女邂逅」のこと、デビューのこと、演技へのこだわりなどについて、話を聞いた。
 

取材、構成:岡島紳士
撮影:フチザキ
 
 
 
「すごい意地悪そうだね」って言われます


--「少女邂逅」にはどういう経緯で出演されることになったんですか?

オーディションです。2016年12月くらいにネットで検索して見つけました。主人公でイジメられ役のミユリ役の募集に応募して。オーディションでは「初めて会った人にどんな第一印象を持たれるか」「仲良くなるとどう印象が変わったと言われるか」と質問されました。みんな「最初は根暗だねって言われて、仲良くなると実は明るいねって言われます」って答えてて。「嘘つけ!」って思って(笑)。私は「すごい意地悪そうだね、って言われます」って正直に答えたんです。審査員は「なるほど」みたいなリアクションだったんで「あー落ちたわ」って思って(笑)。そしたら何故か募集してないイジメっこ役で受かっちゃって。「そっち?」ってなったけど、あのとき素直に答えて良かったなって思いました。

--でも実際、サディスティクな演技が良かったです。冒頭の主人公が飼ってる蚕を森に捨てるシーンの表情とか。ご自身は実際はイジメっこ、イジメられっこ、どっちのタイプなんですか?

あんまりイジメとかには興味なくて、教室で1人でぽけーっと座ってるみたいなタイプでした。生徒会に入ってたんで、結構後輩には怖がられてましたね。中学時代は同級生の男の子に着信音をダース・ベイダーのテーマにされてたりとか。

--イジメを見たらどうしてましたか?

誰がイジメられてるかとか疎くって。イジメられてる子って知らずに仲良くしたりしてました。昔から、マニアックな趣味のある人に対してのリスペクトが強かったので、アニメ、アイドル、声優、パソコンなどに詳しい子と仲良くしてました。今思ったら彼ら彼女らって学校内で孤立してたんですよね。でも私はマニアックな趣味のある子を凄いとしか思えなくて。いろんなことを教えて貰えるのが楽しいんですよね。
  
--自分はオタクにならなかったんですか?

アイドルは好きなんですけど、オタクまでは全然いってないです。周りから見たらオタだったかもしれないけど、私はもっとすごいアイドルオタたちを見てるから。自分はアイドルオタクだなんて言えない、って思ってます。

--ハードなオタに対して負い目を感じてるんですか?

負い目というか、リスペクトですね。彼らはその子たちのために一生を賭けてるし。私も、例えば推しの誰かが卒業するってなったらすごいショックだけど、「私よりもショックを受けてる人が絶対いる」って思ったら、そんなこと言えないなって。「浅い、私なんて全然浅い!」って思っちゃう。

--近くにハードなオタがいたんですか?

大学内にいました。AKB48の握手会に毎回同じコスプレして行って認知されてる、みたいな。私はあまり認知はされたいタイプではないですけど。その子たちが活動して行くために、ちょっとでもお金を出せたらいいなって思うタイプ。ハロプロが好きだけど、エッグから見てるわけじゃないから、娘。コンのオープニングアクトで踊ってる子たちに合わせてサイリウムは振れないし。毎回ファミリー席で観るんですよ。アリーナとかには行けなくて。そこらへんが、私がまだアイドルオタクとは言えないところかなって。あと、1つのグループをずっとイチオシでいられないんですよ。そういう一途じゃないところも、自分をオタだとは言えないところですね。

--基本はハロオタなんですね。昔からなんですか?

そうですね。大学ではダンス部に入って、学祭で毎年パフォーマンスしてました。基本は「ザ☆ピ~ス!」とか「ここにいるぜぇ! 」とか、プラチナ期以前のモー娘。ベースで、そこにももクロやAKBを1曲くらい入れて、全部で5曲くらい。ライブは、ハロ以外だとももクロやエビ中に行ってましたね。ももクロはあかりん(早見あかり)卒業後に初めて観に行ったので、過去のDVDを観ながら「なんで私はこの子を観に行かなかったんだろう」って後悔しつつ。今一番好きなのはつばきファクトリーで、ライブはモー娘。に行ってます。元々は娘。のくどぅー(工藤遥)が好きだったんですよ。くどぅーが卒業した時に、私のオタ活動は終わったなと思ったんです。でも、そこにかえでぃー(加賀楓)が現れてくれて、良かったなって。今度ロッキンにも応援しに行きます!
 
 
 
“あの時期”だけを詰め込んだ映画だと思います


--頑張って下さい!話を映画に戻しますと、役柄についてはどう思いますか?

すごい不器用な子で、共感する部分があります。私の場合はイジメまではしないけど、「相手に近寄りたいのに上手く近寄れないからイジメちゃう」っていう気持ちは分かる。「今思えば何であんな酷いことしちゃったんだろう」みたいなことってあるじゃないですか。すごい切ない気持ちになりながら、役に寄り添って演じました。

--もともと主人公の子とは仲が良かったんですよね。途中からイジメる、イジメられる、という関係になってしまったっていう。

監督の枝さんとはそれについて数時間話しました。中学までは友達だったけど、高校に上がってコミュニティが変わったことに対応できないミユリに対してちょっかい出してたら周りがイジメ始めちゃって。それであとに引けなくなって、でもミユリとの関係は、一度そうなっちゃったらもうイジメでしか繋がれない。私も女子高出身だから、女子同士の微妙な距離感って分かるんですよ。1回あんなことしちゃったから、次に仲良くしようとしたら気まずいし、周りもそういう目で見てるし。そういう危惧を清水は感じてたんだろうなって。私はこの子のことを分かってあげられるなって思いました。

--作品そのものについてはどういう感想を持っていますか?

まだ客観的に観れないんですよ。観てると「このシーンのとき暑かったな」とか「あのシーンカットされてるな」とか思っちゃうから(笑)。でも、誰かしらの役に自分の視点を置くことで、あの頃のことをいろいろ思い出すことはできるんじゃないかなって思う作品ですね。ガヤ3人組とか、イジメっこ3人組とか、主演の2人とか、どこかしら絶対あてはまる役を枝さんが上手く置いてるから。懐かしい、とか、辛い、とか、思い出しながら観れる。“あの時期”だけを詰め込んだ映画だと思います。

--ご自身の中高時代はどうだったんですか?

地元が田舎だったこともあって、中学の時は「自分最強!自分中心に世界が回ってる!」と思ってました。高校は中高一貫で、中学時代にカースト1位だった子がそのまま高校でも1位で上がって来るから、高校からそこに入った私はカースト上位に割り込めなくて。「あ、世界って広い」ってその時思って。あと久留米市ってやんちゃな子が多くて、女子でもケンカをふっかけられるんですよ。そういうのを少しでも避ける生活を送るために、中学も高校も選んで受験しました。

--やんちゃな側にはいかなかったんですか?

行かなかったです(笑)。「ダサイ!」って思って。
 
 
<後編へ続く>
 
 
■土山茜(つちやま・あかね)

1991年10月22日、福岡県久留米市生まれ。
趣味:ポケモンGO、ヨガ、競馬、ミッフィー集め、農業、Twitter(フォロワー約1万2千人)、大戸屋巡り。特技:合唱(大学部門金賞受賞)、悲鳴(ホラー系)、ダンス、アイドルの振り真似。
2012年8月、「汐留グラビア甲子園2012」に一般応募で出場し、デビュー。2017年3月、JALカードのCM「持ってました チケット篇」に出演。映画「少女邂逅」「カップケーキ」、ドラマ「おっさんずラブ」「女囚セブン」(テレ朝系)に出演。目標とするのは宮沢りえ。「きっとこの人は舞台上で嘘をつけないんだろうなって」。
https://twitter.com/Tsutchama
https://www.instagram.com/tsutchama/
 
 
■映画「少女邂逅」


「少女邂逅」本予告編

STORY
いじめをきっかけに声が出なくなった小原ミユリ(保紫萌香)。ミユリの唯一の友達は、山の中で拾い「紬」と名付けた蚕。」窮屈で息が詰ま
るような現実から、いつか誰かがやってきて救い出してくれる──といつも願っていたミユリだったが、いじめっ子の清水に蚕を捨てられてしまう。そ
んなある日、絶望したミユリの学校に「富田紬」という少女(モトーラ世理奈)が転校してくる──。

監督・脚本・編集:枝優花
出演:保紫萌香 モトーラ世理奈 土山茜 秋葉美希 近藤笑菜 斎木ひかる 里内伽奈 根矢涼香 すぎやまたくや 松澤匠 松浦祐也
劇中歌・主題歌:水本夏絵
撮影:平見優子/照明:佐久間周平/録音:小川賢人/ラインプロデューサー:鄭銓聖/アシスタントプロデューサー:小峰克彦/スタイリング:松田稜平/ヘアメイク:七
絵/特殊造形:土肥良成/整音:mauve/音楽:大石峰生/美術:すぎやまたくや/映像投影:阪実莉/スチール:秋山大峰/企画:直井卓俊/アソシエイトプロデューサー:
前信介/製作:「少女邂逅」フィルムパートナーズ
配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS 2017 年/カラー/ステレオ/シネマスコープ/101 分 ©2017「少女邂逅」フィルムパートナーズ
http://kaikogirl.com/
https://twitter.com/kaiko_girl

●公開予定
・渋谷UPLINK 2018年9月22日(土)〜
・ユジク阿佐ヶ谷 2018年10月13日(土)〜10月19日(金)
その他、大阪、愛知、広島、山口、福岡など、全国で随時上映予定。
詳細は公式サイトの劇場一覧を参照のこと。
http://kaikogirl.com/theater.html

●土山茜 舞台挨拶
・福岡・ユナイテッドシネマ キャナルシティ13
2018年9月24日(月・祝)
登壇者:枝優花監督 土山茜
http://www.unitedcinemas.jp/canalcity/movie.php?movie=6942&from=movie
 
 
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